来年度の中小企業税制はこう変わる
平成19年度与党税制改正大綱が決まりました。特徴は、企業の競争力・成長力を強化するため、減価償却制度を40年ぶりに抜本的に見直すなど企業減税が柱となっています。中小企業関連の主な改正は、
◆ 投資額の100%まで償却可能に
減価償却制度は、来年4月以降新規に取得する資産について、残存価額(10%)、償却可能限度額
(95%)を撤廃し100%償却可能な制度とします。既存資産は、95%まで償却が進んだ後、5年間で全額まで均等償却します。
◆ 一人会社の役員給与損金不算入制度の見直し
平成18年度改正で導入された特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度について、適用除外基準の基準所得(税引き前利益+オーナー役員給与)を1600万円(現行800万円)に引き上げるので、対象となる企業は大幅に減ることになるでしょう。平成19年4月以後開始事業年度から適用されます。
◆ 相続時精算課税の自社株特例の創設
事業承継の円滑化のため、相続時精算課税制度の自社株式特例が創設され、これまで対象とならなかった60歳以上の中小オーナー経営者が、後継者である子どもに自社株式を贈与する場合には、非課税枠が500万円上乗せされ、3000万円となります。
◆ 特定同族会社の留保金課税の廃止
同族会社に対する留保金課税の適用対象から資本金1億円以下の中小企業が除外され、内部留保の充実が一層可能となります。
◆ 中小企業等基盤強化税制の延長
中小小売・卸・サービス業の設備投資に対し30%の特別償却又は7%税額控除が延長されます。
定期同額給与の取扱いを明確化
◆ やむを得ない事情での増額改定はOK
平成18年度の税制改正で、損金算入できる法人の役員給与の新しい取り扱いが、18年4月開始事業年度から始まっています。
しかし、具体的な取り扱いに不明な部分もあり、国税当局に寄せられた主な質問に対する回答を質疑応答事例形式により取りまとめ公表しました。
そのなかで、やむを得ない事情による役員の分掌変更に伴う増額改定は、事業年度の中途でも定期同額給与とすることを明らかにしました。
例えば、代表者が急逝というやむを得ない事情により、役員としての職務内容や地位が激変したと認められる場合には、その新たな役員就任に伴う増額改定が事業年度の中途に行われたものであっても、改定前と改定後の定期給与とのそれぞれが、定期同額給与として取り扱われることになります。
◆ 期中で“増額”または“減額”した場合は
また、期中で役員給与を増額した場合は、増額後の支給額が同額であれば上乗せ支給された部分だけが損金不算入になります。逆に、期中で経営の状況が著しく悪化した等の理由で減額した場合は、基本的に全額損金算入ですが、著しい悪化までに至らない(例えば、会社の利益を確保するために)理由で減額した場合は、改定前の金額から改訂後の金額を超える部分が損金不算入になります。税務調査で著しい悪化か否かが問題になりそうです。
そのほか、役員に対する歩合給の判定、ペナルティとして役員給与の一部を一時的に減額する場合や事前確定届出給与についても、「定めどおりに支給されたかどうかの判定」などが解説されています。
9年ぶりに増加した企業の交際費
◆ 17年分法人企業の実態−国税庁
国税庁がまとめた平成17年分法人企業の実態によると、交際費は前年に比べ2.7%(945億円)増の3兆5千億円にのぼり、9年ぶりに増加しました。このうち、税法上損金に算入されなかった金額は前年に比べ7.3%増の1兆8千億円と5年ぶりに増加に転じ、損金不算入割合も前年より2.2ポイント増の51.2%と5割台になっています。
なお、営業収入10万円当たりの交際費は243円。業種別では建設業 537円、機械工業 217円、出版印刷業 467円、卸売業 160円、小売業
178円、サービス業 323円などとなっています。
資本金別にみると、1千万円未満が 680円、1千万円以上〜5千万円未満は
357円と高く、10億円以上は 143円と低くなっています(1人当たり5千円以下飲食費の特例導入以前の統計)。
◆ 全体の67.1%が赤字法人
平成17年分の法人数は258万5千社で引き続き増加しており、資本金1千万円未満が55%、1千万円以上1億円未満が43%を占めています。組織別では株式会社が40%、有限会社は56%でした(昨年5月に施行された新会社法以前の統計)。
連結子法人を除く 253万社のうち、赤字法人は 173万社と全体の67.1%を占めました。前年に比べ0.1ポイント増加しましたが、この8年間では前年に次ぐ低い数字です。
黒字法人についてみると、営業収入金額は3.2%増の981兆円、所得金額も9.1%増の42兆円となり、営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は4.3%と3年連続で上昇しています。
知って得する「医療費控除」
◆ 対象になる医療費は
自己と生計を一にする家族の為に支払った医療費から保険などで補填された金額を差し引き、年間10万円(合計所得金額200万円以下の人はその5%)を超えた金額に適用されます(最高200万円)。
対象になる医療費は、医師による診察・治療に必要な医薬品のほか、治療のための指圧師やはり師などの施術代、市販のかぜ薬や下痢止め、指定訪問介護等の利用料、通院費、医療用器具の購入代や賃借料など広範囲に認められています。
逆に、健康診断や美容整形、医師等への謝礼、健康維持や予防のための医薬品・健康食品、マイカー通院のためのガソリン代や駐車代などは対象外です。
◆ 医療費控除で得する5つのポイント
@ 年の後半で多額の医療費があっても、前半の領収書等がなければその分は対象外になるので、年初から関連がありそうな領収書やメモを保存します。
A 通院のための電車賃やバス代は日付と金額のメモでOK。タクシー代は発作や骨折などで歩けない場合は認められるようです。
B 生計を一にする家族とは、別居の扶養老親や修学中の子女、扶養の有無は問わないので共働きの妻や同居の息子家族も含めることができます。
C 生計を一にしている、例えば、共働きの妻の医療費の負担者が明確でなければ、税率の高い夫がまとめて還付申告をすれば有利です。
D 確定申告書に領収書などを添付又は提示する必要がありますが、入院保険金などの給付をを受けるために、後日領収書が必要な場合には提示します。
自社株式の生前贈与で事業承継円滑化
◆ 非上場株式贈与の特例の創設
事業承継をスムーズに行うためには、後継者を決めるだけでなく、経営権の元となる自社株式の多くが後継者のものになることが重要です。
そのような意味では、平成19年度税制改正に盛り込まれる特定非上場株式の贈与の特例が注目されます。この特例は、従来の相続時精算課税制度を拡充したもので、中小オーナー経営者が、自社株式を後継者である子どもに贈与する場合、贈与する親の年齢要件を60歳に引き下げ、非課税枠を3000万円に引き上げます。
同特例を活用することで、早い段階で後継者となる子どもに自社株式を贈与して権限を与えることができるため、相続時に起こりがちな財産分与を巡ってのトラブル(争続)を回避できます。
◆ 4年後に株式等50%超保有などが要件
この特例の適用は、後継者である子どもが、平成19年1月から20年12月までの間に自社株式の贈与を受ける場合ですが、一定の要件を満たす必要があります。それは、発行済株式等の総額が20億円未満であることのほか、受贈者が@ 株式等の50%超を保有し、かつ、議決権の50%超があること、A 代表者として会社の経営に従事していることが条件で、@とAについては、特例を選択して贈与税を申告してから4年経過時点で判断します。
なお、非上場株式の評価の原則的方式は、評価会社を資産価額や売上額、従業員数などで大、中、小会社に分け、それぞれ類似業種比準方式(大会社)、純資産価額方式(小会社)、その併用方式(中会社)で評価しますが、詳しくはお問い合わせください。
経営上の問題点は人の問題へと大きく変化
◆ 人手不足や人件費の増加が浮上
中小企業家同友会が実施した景況調査報告のなかで、経営上の問題点の重点が、価格問題から「従業員の不足」に代表される人の問題へと大きく変化していることが明らかになりました。
調査結果によると、昨年10〜12月期の経営上の問題点(3項目までの複数回答)は、ここ半年間ほど急上昇していた「仕入単価の上昇 30%」や「仕入先からの値上げ要請 10%」が前期からそれぞれ5ポイント程度減少して頭打ち傾向・減少傾向が明確になってきました。
一方で、微増傾向にあった「従業員の不足」が3ポイント増の15%、「人件費の増加」が1ポイント増の16%、「熟練技術者の確保難」が2ポイント増の14%と、それぞれ上昇傾向が継続しています。
◆ 経営上の力点でも「人材確保」が急上昇
人の問題の上昇は、団塊世代の大量退職などに伴い採用意欲が上昇する反面、有効求人倍率が1倍を超える売り手市場となって、人材採用難や労働力不足となっていることが背景にあります。
経営上の力点では、トップの「新規受注(顧客)の確保」が前期比2ポイント減の60%、次いで「付加価値の増大」が1ポイント減の50%、3位の「社員教育」は横ばいの40%ですが、毎年着実に比率を上げてきています。
注目されるのは、5位の「人材確保」が5ポイント上昇の26%と、1993年の同調査開始以来の高い比率となったことです。
人材を確保して、いかにして社員の質を向上させていくかが企業の大きな課題となっています。
雇用確保は職場の環境作りから
◆ 働きやすいと感じる職場環境とは
人手不足が問題になりつつある昨今、中小企業ではパート等に対するウェイトが高くなることが予想されます。アイデムが実施した「パート・アルバイトの働き方に関する調査」を参考に、主婦のパートさんにスポットを当て意識を分析します。
パートという働き方を選んだ理由は、*自分の都合のよい日時、*家事や育児と仕事の両立、*扶養の範囲内が他を引き離して多く、就職を決めた理由では、*勤務日時と通勤時間を優先、*簡単そうな仕事より経験を活かせる職場を選んでいます。
働きやすい職場環境とは、*勤務日時が自分の都合に合う、*人間関係が良好、*自分の裁量で仕事ができるが上位になっています。
逆に、働きにくい職場環境は、*評価が賃金に反映されない、*仕事振りに応じた評価がないなど評価に関する項目が多く、どんなときに辞めようと思うかとの質問では、*人間関係が悪い、*賃金が割に合わない、*頑張っても評価されない、*何年働いても賃金が上がらないときと回答しています。
◆ 厚年適用拡大は主婦と企業で温度差
また、主婦の約7割が年収103万円以内の配偶者控除が適用される、いわゆる “103万円の壁”を意識しています。
ところで、政府は週20時間以上働くパート等にも厚生年金を適用拡大する方針ですが、現在の勤務先で「加入している」は、わずか12%に過ぎません。仮に適用が拡大された場合は、主婦の半数が「加入したい」と回答しており、事業主負担が増加する企業側とは温度差が違う結果となっています。
不動産所得における「事業的規模」とは
◆「事業的規模」か否かで大きな違い
不動産所得の場合、その貸付が「事業的規模」と認められると、専従者給与の経費算入や青色申告特別控除(65万円)ができるほか、事業用資産の取り壊し、除却など損失の全額の経費算入が可能になる、など多くの特典があります。
つまり、事業的規模か否かで所得税の取扱いが大きく変わってきます。例えば、事業用資産の除却損がある場合、事業的規模でなければ、その年の不動産所得の金額までしかその除却損は計上できませんが、事業的規模であれば、除却損を全額計上し、赤字であれば他の所得との損益通算もできます。
◆「5棟10室基準」は簡便な判定方法
税務上、事業的規模とされるためには、貸付資産の規模や賃貸料の収入状況などを総合的に勘案して判断することとされていますが、通達では、@ 貸間・アパートなどは貸与できる独立した室数が概ね10室以上、A
独立家屋の貸付は概ね5棟以上という形式的な「5棟10室基準」があります。
物件を共有している場合は、共有物件全体で基準を満たしていれば事業的規模と認められます。また、貸室と貸家、駐車場を所有しているような場合は、貸室2室を貸家1棟として換算。駐車場は5台分を貸室1室に換算するのが一般的です。
この「5棟10室基準」は事業と称するに足る目安に過ぎず、この通達では判断できない賃貸住宅や貸しビルが多い現在では、通達を参考としつつ実態に基づいた社会通念上「不動産貸付業」といえるかどうかということで判断します。
なお、平成19年分の青色申告の承認申請期限は、3月15日です。
4月から始まる小売等役務商標制度
◆ サービスマークとして包括して保護
商標法一部改正により、4月から小売等役務商標制度が導入され、出願の受付が始まります。
同制度は、小売業者や卸売業者が商品を販売する際に使用する商標をサービスマーク(役務商標)として保護する制度で、レジ袋や買物かご、店員の制服、インターネットの広告など、様々なサービスに使用される名称やマーク等を包括的に保護します。対象となる業種は、小売・卸事業者、カタログやインターネットを利用した通信販売事業者です。
また、これまで多種類の商品を扱っている事業者が商標権を取得する場合、商品ごとに商標登録する必要がありましたが、「小売サービス」という一つの分野で商標権を取得することできます。
◆ 継続使用している商標は、原則使用可能
登録にあたっては、「鈴木商店」や「三河屋」のように、多くの事業者が使用している店名は原則登録できませんが、図形付きの商標などで他社と区別できる商標であれば、登録できます。
もし、他社に小売等役務商標を登録されてしまった場合でも、不正競争の目的ではなく、制度施行前(4月1日以前)から、継続して使っている商標は、これまでの範囲内で使い続けることができます。
なお、混乱を避ける経過措置として、4月〜6月末日の間に出願された案件はすべて同日受付として扱い、複数の小売等役務商標が競合する場合は、出願人の間で協議をすることになります。
詳しくは、弁理士または現在、経産省・特許庁が全国の関係団体で説明会や相談窓口を設けて周知活動をしていますので、お問い合わせ下さい。
ビジネスマナーの基本を再確認!
新人を迎える会社は先輩が良い見本を示すために、そうでない会社も、ビジネスマナーを定期的に再確認してはいかがですか。
◆ 相手を思いやり、不快感を与えない気配り
ビジネスマナーとは、相手を思いやり、不快感を与えないよう気配りをすることで、人間関係が良好になり仕事をスムースに進めることができます。
ビジネスマナーのポイントは、
*身だしなみ……清潔感があり、動きやすく、機能的であること、周囲の人に違和感を与えないことが重要です。おしゃれは自分のため、身だしなみは相手に信頼されるためです。
*挨拶……挨拶は職場の潤滑油。挨拶で始まり、挨拶で終わります。相手の目を見て、明るく、元気よく、心を込めて挨拶します。
*言葉遣い・敬語……言葉遣いは人柄や態度を端的に表します。過度な敬語は距離感を感じさせますので、相手との親密度に応じて使い分けます。
*態度……姿勢や行動、立ち居振る舞いなどの態度で他人は判断します。常に謙虚な態度を心掛けることが大事です。
*表情……顔の表情や視線で、受ける印象は大きく変わります。相手を気持ちよくさせる表情は笑顔。
*電話応対……言葉遣いや声のトーンだけで会社の印象が良くも悪くも判断されてしまいます。また、姿がみえなくても、話している時の態度や姿勢は相手に伝わります。
マナーを身に付けていても事務的では意味がありません。気持ちを込めたマナーがお客様に「この会社ならお願いできる」と評価されることでしょう。
議決権のない株式評価を5%軽減
◆ 事業承継の活用に期待される種類株式
国税庁はこのほど、経済産業省の照会に文書回答し、無議決権株式の評価を5%軽減するなど、種類株式の評価を明らかにしました。
種類株式は、昨年5月の会社法の施行で発行制限が大幅に緩和され、中小企業の事業承継においてもその活用が期待されていますが、相続税法上の評価方法が不明確で活用が進まないとの指摘があったものです。活用が期待される種類株式としては、配当優先の無議決権株式、社債類似株式、拒否権付株式(黄金株)の3類型が想定されています。
◆ 納税者の選択で5%評価減が可能に
例えば、後継者の子どもには議決権のある普通株式を相続させ、経営を継がない子どもには配当優先の無議決権株式を相続させることで、支配権争いを防ぐことができるようになります。
配当優先の無議決権株式は、納税者の選択によって、普通株式評価額から5%を評価減することもできます。ただし、全体の相続税評価総額が変わらないように、申告に際しては、無議決権株式の評価減分を議決権株式の評価に上乗せして計算します。
◆ 社債類似株式は発行価額で評価
社債類似株式は、一定期間後に償還される特定の無議決権の配当優先株式で、活用方法は上記の無議決権株式と同様です。こちらは、発行価額で評価しますが、株式であることから、既経過利息に相当する配当金の加算は行いません。
また、拒否権付株式は、後継者の独断専行経営を防ぐため、オーナー経営者が経営権を譲った後も、拒否権付の株式を保有して監視するものですが、拒否権を考慮せずに、普通株式と同様に評価します。
継続雇用導入企業の7割が対象基準を設定
◆「再雇用制度」の導入企業が91%
昨年4月の改正高年齢者雇用安定法の完全施行に伴い、施行から半年経過した昨年10月1日現在で、労働政策研究・研修機構が「高年齢者の継続雇用の実態調査」をしました。
【注:調査対象は従業員数300名以上の民間企業】
まず、「定年制」がある企業は99%で、そのうち94%が60歳定年です。「再雇用制度」を導入している企業が91%と圧倒的に多くなっています。
継続雇用制度の対象者は、「原則として希望者全員」とする企業が25%、「対象者の基準を設定」している企業が72%でしたが、実際には64%と6割強の企業が、希望する社員の「ほぼ全員」を継続雇用すると回答しています。
◆ 年収は定年到達時の「6〜7割」が44%
継続雇用者の勤務形態(複数回答)は、「フルタイム」を挙げる企業が89%にのぼり、それ以外では、
“短時間勤務”が22%、 “短日勤務”が26%、 “短日・短時間勤務”も19%で導入されています。
また、仕事内容は「通常、定年到達時の仕事内容を継続」が72%を占め、「各人によって異なる」が23%です。年収(年金等を含む)は、定年到達時の「6〜7割程度」に設定する企業が44%でもっとも多く、「6割以上」が全体の66%を占めています。
賞与は「支給しない」が30%ですが、「定率で支給」「担当職務に応じて支給」など、何らかの形で支給している企業が57%にのぼっています。
なお、管理職社員が継続雇用される場合は、「役職から外れる」が45%、「継続して役職につくかどうかは個々の社員による」が29%となっています。
減価償却制度の抜本的な改正
◆ 4月以後取得資産は1円まで全額償却
平成19年度税制改正において減価償却制度の抜本的な見直しが行われ、19年4月以後取得する減価償却資産は、償却可能限度額(取得価額の95%相当額)及び残存価額が廃止され、耐用年数経過時点に「残存簿価1円」まで償却できます。
また、19年3月31日以前に取得した減価償却資産で、償却費の累積額が、原則として、取得価額の95%相当額まで達しているものについては、その到達した事業年度の翌事業年度以後において5%相当額を5年間で均等償却できるようになります。ただし、適用されるのは、19年4月1日以後開始する事業年度に限られますので注意が必要です。
◆ 250%定率法の導入
減価償却の方法では、250%定率法が導入され、定額法の償却率の原則2.5倍に設定された「定率法の償却率」が適用され、早い段階においてより多くの償却を行うことができるようになりました。
★250%定率法の計算例(耐用年数6年)
定額法の償却率0.167×2.5=0.417
|
|
期首簿価 |
改正償却額 |
改正前償却額 |
|
1年 |
1,000,000 |
417,000 |
319,000 |
|
2年 |
583,000 |
243,111 |
217,239 |
|
3年 |
339,889 |
141,733 |
147,940 |
|
4年 |
198,156 |
82,631 |
100,747 |
|
5年 |
115,525 |
※57,762 |
68,609 |
|
6年 |
57,763 |
57,762 |
46,722 |
|
6年終了後の残存簿価 |
1円 |
99,743円 |
|
※償却額が、帳簿価額を残りの耐用年数で割った金額を下回った年から、償却方法は定額法になります。
会社法が中小企業に与えた影響は?
◆ 株式会社に移行した企業は11%
昨年5月に施行された会社法によって、取締役の任期延長や取締役会の廃止など、中小企業の経営実態に合わせた機関設計が可能になりました。会社法が企業に与える影響を中小企業庁が調査しました。
それによると、同調査の実施時期が昨年8月という施行後間もない時期だったことから、「内容について一定程度まで認知している」割合は41%にとどまり、その情報源は、「新聞・雑誌・書籍 46%」と「税理士から
42%」の比率が高くなっています。
企業形態では、有限会社から施行後に株式会社へ移行した比率は11%で、従業員51人以上の企業では28%と高くなっています。
◆ 28%の企業が「取締役の任期延長」
各制度の導入状況をみると、導入(予定)の比率が高いのは、「取締役会の書面決議
31%」、「取締役の任期延長 28%」でした。その他「取締役会の廃止 11%」、「監査役の廃止
14%」、「監査役の任期延長 15%」などで、「種類株式等の発行 3%」、「会計参与の設置
3%」は低い比率でした。
取締役会の設置状況については、「廃止済み・今後廃止予定」は11%に過ぎず、33%が「廃止予定はない」と回答しています。取締役の人数は、「3人」の企業が52%と約半数を占めます。
また、株式譲渡制限会社では取締役の任期を10年まで延長できることになりましたが、「延長済み・今後延長予定」の企業は28%、「延長は考えていない」との企業は29%でした。ただし、「周囲の状況をみて考える」が19%あり、調査後延長企業が増えていることも考えられます。
特定買換え特例の床面積要件の上限を撤廃
◆ 特定買換え特例は3年間延長
平成19年度税制改正では、相続等による居住用財産の買換え特例は、19年3月をもって廃止され、特定の居住用財産の買換え特例(10年超所有しているマイホームを買い換えたとき、譲渡価格≦買換え価格の場合、譲渡益の課税を繰り延べることができ、また、譲渡価格>買換え価格の場合、その超える部分にのみ課税され、譲渡益と課税額の差額については繰り延べられる特例)に一本化されます。
特定の居住用財産の買換え特例は、今年4月以後に行う居住用財産の譲渡について、買換え資産である家屋の床面積要件の上限(改正前280u)を撤廃し、50u以上・上限なし、敷地500u以下となります。適用期限が平成21年12月まで3年間延長されました。その他、所有期間・居住期間が10年超などの要件は変わりません。
◆ 相続買換えは3千万円特別控除等も考慮に
これによって、相続等で取得した居住用財産の買換えは、特定の居住用財産の買換え特例の要件に縛られることになります。
例えば、買換え資産が耐火建築物であれば築25年以内または新耐震建物証明などの築年数要件を満たす必要が出てきます。また、これまで制限がなかった床面積要件も50u以上という要件が出てきます。つまり、築25年以上の新耐震証明のない耐火建築物または50u未満の場合は、買換え特例が適用できないことになります。
また、要件を満たす場合でも、買換え特例を利用せずに、3000万円の特別控除や居住用財産を譲渡した場合の軽減税率を適用するほうが、有利な場合もあることを考慮する必要があるでしょう。
帳簿・書類(文書)保存のポイント
企業が扱う膨大な帳簿・書類・資料などを、保管スペースや事務処理のコストを考慮して、取捨選択をしなければなりません。
◆ 保存書類の決め方
税法や会社法などで、一定期間の保存が義務付けられている「法定保存文書」については、最低限度を定めた期間ですから、安全性や必要性を考慮して適宜延長することも必要です。
法定保存文書以外で、業務遂行に重要・企業のノウハウ・訴訟に備えて立証のための重要文書などは、企業が独自の判断基準で、「永久・10年・5年」などに分類し、保存を開始した時点で廃棄する時期を明確にしておくことが大切です。
◆ 廃棄する場合の注意
保存管理が適切に行われていないと、誤って必要な文書を廃棄してしまうことがあるので、再度確認してから廃棄します。そして、機密書類や個人情報が漏洩することがないようセキュリティーに万全を期すことが重要です。
なお、法定や重要以外の通常の書類や資料は、例えば、1年後には利用価値がなければ思い切って“捨てる”ことで、保管場所がスッキリして書類を探す時間とミスを減らすこともできます。
◆ 個人情報保護法や電子文書保存法への対応
顧客の個人情報等の管理・保存・破棄については、慎重な対応が求められるので、万一に備えてこの機会に再確認をしてはいかがですか。
また、電子文書保存法(e-文書法)により、電磁的方法による保存が可能ですが、安全性・コスト・検索方法などを比較検討してから導入します。
所得税確定申告書提出人員は過去最高
◆ 定率減税の半減で申告納税額が増加
国税庁が発表した平成18年分所得税等の確定申告状況によると、確定申告書提出人員は2349万人で、過去最高だった17年分より1.3%増加し、8年連続記録を更新しています。
その内、申告納税額があった者は823万人(前年比0.7%減)、納税額は2兆8971億円(8.4%増)となり、納税額の増加は定率減税の半減が大きな要因となっています。また、還付申告者は1225万人(2.4%増)に達して全体の52%を占めており、医療費控除や住宅取得控除の適用者、公的年金受給者の増加が影響したとみられています。
◆ 株式等の譲渡所得金額は減少
所得者別では、事業所得者の納税人員は190万人(3.1%減)、所得金額は7兆1936億円(1.7%減)ですが、申告納税額は5763億円(6.4%増)となりました。不動産所得者と雑所得者については所得金額及び申告納税額のいずれも増加しています。
また、株式等の譲渡所得では、申告件数は94万件と前年比4.2%増でしたが、有所得件数(利益が出た人)は49万件と15.8%減少し、所得金額は2兆6363億円(15.4%減)となりました。ライブドア事件を発端にした新興市場の下落が一つの原因と考えられます。
一方、個人事業者の消費税の申告件数は前年より3.1%減の152万7千件、納税申告額は同1.7%減の4816億円とともに減少しました。
e-Taxについては、所得税の申告件数は前年比約14倍増の49万件、消費税の申告件数も同約11倍増の10万件と大幅に増加しています。
「算定基礎届」のご準備はお早めに
今年も社会保険事務所から健保・厚年の保険料を決める「算定基礎届」の用紙が送られてくる時期になりました。窓口での受付は7月2日(1日は日曜日)から10日までです。
◆ 健康保険の標準報酬月額の上下限が拡大
算定基礎届とは、月給のほか残業手当など諸手当があり毎月一定でないため、4月〜6月の3ヵ月間に支払われた報酬の総額を3で割って、平均月額を算定し「標準報酬月額」を決定し、9月(10月分給与から控除)から1年間の保険料を計算します。
対象者は、5月31日までに被保険者の資格を取得し、かつ7月1日現在の被保険者の原則全員ですから、用紙に印字されている被保険者の氏名・生年月日等の内容に誤りがないかチェックします。
なお4月から、健康保険の標準報酬月額の上限は121万円、下限は5万8千円に拡大されているので注意してください。
◆ 報酬に該当するものが多いので注意
4、5、6月に支払われた総報酬額を月別に記入し、総額を3で割って決定するわけですが、報酬に該当するものには基本給を始め、通勤・残業・家族・住宅・役付手当、年4回以上の賞与など金銭で支給するものの他、食事*・住宅*・通勤定期券など現物支給も含まれます(*要件あり)。
なお、報酬支払基礎日数は昨年から17日以上の月が対象となりましたが、月給制の場合は休日や有給休暇も含まれ出勤日数に関係なく「暦の日数(30日又は31日)」になります。ただし、欠勤があった場合は就業規則などで決められた所定労働日数から欠勤日数を差し引きます。
多様化する中小企業の資金調達手段
◆ 期待される動産担保融資
不動産に依存しない様々な資金調達手段が登場しています。その中でも、中小企業の資金調達として期待されている売掛債権や在庫といった動産を担保にした融資が徐々に広がり始めています。
国も中小企業信用保険法を改正し、信用保証制度をこれまでの売掛債権に加え、在庫を担保とする借り入れに対応した「流動資産担保保険」を創設し拡充する方針です。
不動産に依存しない融資として、注目を集めているのが、「ABL(アセット・ベースト・レンディング、流動資産一体担保型融資)」です。企業が商品を生産、保有、販売して代金を回収するといった事業のライフサイクルに対し融資する手法です。
在庫商品や売掛債権、販売代金などを一体的に担保とする点が特徴で、在庫商品の市場価格や、取引先の支払い能力などを総合的に見て担保資産の一定割合を上限に設定されます。
◆ 縁故者を対象にした少人数私募債
金融機関ではなく、自社で直接資金調達する手段として「少人数私募債」があります。親族や得意先などから事業資金を募るために発行する社債で、新会社法により株式会社だけではなく、すべての法人で社債を発行できるようになりました。
社債発行に伴う官庁への届出や報告の義務などはありませんが、募集が50名未満の縁故者に限られ、発行総額が1億円未満、などの条件があります。
どのような資金調達でも、会社や社長に対する「信用力」と事業計画書で目的や使途などを明確にし、「熱意」を伝えることが重要となります。
査察での告発件数は166件と高水準
◆ 消費税関連の告発件数が大幅増加
国税庁が発表した平成18年度版査察白書によると、18年度中に査察に着手した件数は231件、その脱税総額は304億円で、ともに前年度を上回りました。また、刑事罰の対象となる検察庁に告発した件数は75%(告発率)にあたる166件と高水準でした。告発分の脱税総額は278億円、1件あたり1億6700万円となっています。
告発事件を税目別にみると、消費税関連の事案が増えているのが目立ちます。これは、人材派遣業を中心に、人件費を外注費に科目仮装することによる脱税や、輸出免税制度を悪用した不正還付事案が増加していることが背景にあるようです。
◆ 目立つ無申告・国際取引関連事案
最近3年間の告発件数は、無申告事案では44件、国際取引事案では79件と増加傾向にあり、査察の重点対象といえます。
国際取引事案の例では、海外工事に関連し、現地法人に対して外注費を水増しして計上し、当該法人から不正資金を現金で回収し、国内に持ち込んだとして告発されています。
また、脱税資産の隠匿場所は、埋込式金庫や浴室の天井裏、掘り炬燵、親族名義貸金庫など様々です。
なお、18年度中は査察事件の一審判決が160件出ていますが、すべて有罪となっており、うち14人に執行猶予が付かない実刑判決が下されました。1人あたりの平均懲役月数は16.4ヵ月、1人(社)あたりの罰金額は平均2700万円でした。
悪質な脱税は、社会的な信用を失うだけでは済みません。適正な申告を心がけたいものです。
人手不足感は鮮明だが、地域間で格差
◆ 小規模企業ではパートなどで対応
信金中央金庫総研が実施した「中小企業の雇用・賃金動向調査」によると、人手の過不足状況については、正社員、非正社員とも「適正」とする企業割合が各75%、79%と最も多くなっています。
しかし、正社員、非正社員ともに「不足」とする企業が各18%、16%と、「過剰」を上回っており、全体では人手不足感が鮮明になっていますが、北海道・東北など明確でない地域もあります。
人手不足への対応をみると、従業員30人以上の規模の企業では、正社員を確保する割合がもっとも高い一方、比較的小規模な企業では、パート・アルバイトなどによる確保が高い割合を占めています。
従業員4人以下の企業では、雇用を増やさない・増やせないとする企業も多く、比較的小規模な企業では、不足感はあるものの、パートなどでの人手確保が中心で、正社員の雇用に結びつきづらい状況が明らかになっています。
◆ 採用では能力面のミスマッチが問題
賃金動向では、過去1年間に正社員の賃金を引き上げた企業は21%、据え置き72%、引き下げ7%でしたが、非正社員の引き上げは10%にとどまりました。また、今後1年間の改定予定は、引き上げが19%、据え置き77%、引き下げ4%となっているのを始め、正社員の賞与、非正社員の賃金でも、引き上げ予定が引き下げ予定を上回っています。
なお、採用の問題点としては、求める能力を持つ人材が応募してこない、という能力面のミスマッチが最も多く、次いで職種として求職者が少ない、求める賃金を支払えない、の順になっています。
減価償却制度に関する通達を改正
◆
形式基準による修繕費の判定は
国税庁は、19年度税制改正を受けて減価償却制度に関する法人税基本通達等の一部を改正しました。
まず、修繕費か資本的支出(資産価値を高める改良・改修等)かが明らかでない場合は、その金額が、@
60万円に満たない、A その修理・改良に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下、のどちらかに該当すれば、修繕費として損金経理できる形式基準があります。
これまでは資本的支出を既存の取得価額に加算して10%基準の判断をしましたが、4月以後の資本的支出は、別個の資産を新たに取得したものとして新償却方法で償却するので、A の取得価額に加えても良いか判断に迷うことになります。
そこで改正通達は、一の資産の取得価額に関する考え方はこれまでと変わらないので、取得価額に本年4月以後に行う資本的支出の額を加算した合計額で、10%基準の判断ができるとしています。
◆ 総合償却資産の除却価額の廃止
また、これまで総合償却資産(耐用年数の異なった種々の資産を集合して償却)の除却価額は、一部除却した資産の取得価額の5%相当額が原則でしたが、償却可能限度額(取得価額の95%)が廃止されたことに伴い、この取扱いも廃止されました。
改正通達では、個々の資産の取得価額と個別耐用年数を総合的に考えて求める総合耐用年数を基にする未償却残額等を用いた方法で除却価額を求める従来の基本通達を原則とし、別に、個別耐用年数による未償却残額除却方式を、法人が続けて適用して計算している場合には、これを認めるとしています。
事業承継は計画的な事前準備から